【color 1】
青年は、疲れていた。
「あー…」
傷だらけで黒い髪の青年はだらしない溜め息を漏らすと、その辺の壁に座り込む。
今日の客は人をいたぶるのが好きだったらしい。
そのおかげで普段の3倍は貰えたけれど。
その黒髪の青年は立ち上がるのもダルくなってそのまま動かなくなった。
こんな事続けてもう2年。
身体を売って糧を得る。
ある程度の覚悟と、ある程度の度胸、それがあれば不可能ではない、コト。
世間一般には多分、正しくない、コト。
痛みを我慢するのが少し辛いけれど、不可能ではない、コト。
いつまで続けるつもりなのだろう?
少し口元を歪めて自問自答してみる。
下らない。
肩を震わせて軽く喉を鳴らした。
実際問題、終わりなど期待するだけ無駄なのだから。
家、帰んなきゃ。
1Kのボロアパート、どうせ学校行かないけど、早くあの客の感触を消したかった。
何とか立ち上がろうと試みるけど、身体がどうしてもダルくて出来ない。
身体中が痛くて、堪らない。
午前3時の裏路地は、淋しいくらいに静かで汚い。
青年は下腹部の痛みに顔を顰め、少し身じろいた。
気力だけで此処まで来たけど、もう歩けそうになかった。
家まで後10分くらいなのに。
空を仰ごうと上を見上げるけど、ビルが多くて空は殆ど見えない。
唯一見えているのは四角に切り取られた小さな小さな空だった。
それでも青年は、"綺麗"だと笑った。
暫くそのままそうしてると、ふと視界が陰った。
視線を移動すると、一人の人間が歩いてた。
多分、男性。
無駄に身長がでかくて、その割細いけどひょろいってわけでもなくて、髪は赤茶けてる。
暗くて顔全体はよく見えないが、若いだろうと言うことは分かった。
煙草臭いから20過ぎくらいだと推測する。
「なぁ」
何を思ったのか、青年はその男に声をかける。
男は少し遅れて立ち止まると、ゆっくりと振り返った。
「…俺?」
「うん」
「…何?」
「…手、貸してくんねぇ?」
青年は聞き取れないくらい小さな声で、だけどはっきりと言った。
聞こえていたのか、男は考えた様子もなく答えて青年に手を差し出す。
「いーよ」
それが、出会い。
月一ですら更新出来なかったですね(汗)
しかも最初書いたのと相当変わってるし。某Mさんは分かるでしょう(笑)
あ…名前だしてな…っっ;;;
(2004.6.14)
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