梅雨空


どうして?

こんなにもどんよりとした感情は。
こんなにも鈍く突き刺さるような感情は。
正しさが必要だと説くのなら、答はあまりにも簡単なのに。
どんなに叫んでも君は何処にもいない。
透き通る肌、柔らかい髪、晴れ渡った空みたいな笑顔、
君は何処にもいない。

どうして君が?

僕を打つ雨が直接脳に滲みてゆくみたいに瞳からは涙が、じわりと麻痺してゆくみたいに心には痛みが、
そうして見失ったのは、君が説いた筈の正義。
僕を蝕むのはあまりにも愛しい感情。
それは振り返ることなど出来ないくらいの速さで奪ってしまう。
優しささえも。

この梅雨空はもう明けそうにない。
さぁ凶器を強く強く握り締めて闇に続く道へ、


僕は立ち上がる。