淀んだ教室の空気と教師のつまんない話。
あたしの恋するオレンジは今日も眠たそうに欠伸をした。



  オレンジ


アイツは多分、昼と夜逆転の生活してるんだと思う。
だって気付くと寝てるし、たまに起きてる時だって非道く眠そう。
今だってほら、毛布持参で安眠モードだ。
そんなアイツは上手に染まったオレンジ髪
187センチの無駄にデカい身長とその髪は学校の何処にいたって直ぐ分かる。

いつだか教師に呼び出されて生活態度とか言うのを注意されてた。
そしてその後ラッキーな事に、あたしに愚痴ってくれたのだ。

実はアイツの地毛、色素がかなり薄い。
なのになんでわざわざ染めるの?とあたしが聞くと、
アイツには似合わない可愛い秘密を教えてくれた。


オレンジ色、好きなんだ


似合わなすぎて噴き出したあたしに、アイツはちょっとむっとして拗ねたように口を噤む。

いーじゃんそういうの。好きだよあたし。

あたしに送れる精一杯の信号。
気付いてほしいけど気付いてほしくない。
静かになったのが気になって、何でもない振りでアイツの横顔盗み見した。
ちょっと驚いたその顔は、ほんのちょっと嬉しそうで、
日に反射したオレンジがやけに眩しかった。


あたしの恋するオレンジは、今日も教師に起こされてる。
もし目が合ったなら、ばーか。と笑ってやろう。