罪と罰


雨の日にたった二人。
静まりきった空間には貴方とあたしと雨以外何も、ない。
貴方は傘もささず地面に座り込んで、あたしはただ貴方に寄り添う形で隣にいた。
もう何分もの間雨の打つ音しか聞いていない。

「ねぇ」

貴方は顔を上げることすらしてくれない。
このまま黙っていろと云うのですか。

「…守るよ、あたしは」

引き返すことなど出来る筈がないのです。
留め金などとうに壊れてしまったのです。
貴方はそこで漸く顔を上げ、悲しい表情になった。


「守るよ」


あたしはもう一度繰り返す。どうしてそんな顔をするのですか。
貴方を追い立てるものが何だって必ずこの手で守ります。

だから、


ねぇどうぞ笑って下さい。