謝謝
指先で刻む決まったリズム。
横目に見える貴方の横顔。
微かに耳に響く歌声が脳内を侵して、
溶けてゆく感覚。
触れ合う肩から伝わる体温がやけに温かくて、
感じるのは二人だけの存在で、
まるで世界が二人だけのような、
有り得ない錯覚につい、
陥りそうになるほど、
溶け合えそうな感覚。
そんな空間がひどく心地よくて、
隣にある気配がひどく当たり前に感じられて、
幸せだと思えることに、
当たり前だと思えることに、
無性に、
無性に、
ありがとうを言いたくなった。
「ねぇ。」
「ん?」
「ばぁーか。」
そんな簡単には言えないけどさ。
少し揺れた貴方の肩、
顔は見えないけど笑ってるのだろう。
「…どーいたしまして?」
また今日も少し、貴方を好きになる。