クロロカルキ


それはどんな汚れも、匂いも、色も、感触さえも消してくれるという。

本当かどうか怪しいものだけれど、
僕は君を忘れてしまいたいと思ったので、それを頭から浴びてみた。
どうやらそれは本物だったようで、
僕から君というものがどんどん抜けてゆく。
これで君を忘れてしまえると思うと、ほっとして少し寂しくなった。
僕から君が消えてしまったら、僕には一体何が残るというのだろう。

そうして君が全て消えてしまったその後には、



小さな真っ白い塊だけが、そこに残った。