ゆらゆら揺れる、唇の先のその紫煙。
ホントは気付いてるのでしょう?
綺麗なお姉さんは好きですか?
綺麗だね。
薄暗いオレンヂの明かり。
ダブルベットのシーツ一枚隔てた距離で、あたしの躯を見てそのヒトは言う。
どーも。
上目づかいに誘うような含み笑いも、慣れてしまえば楽なもの。
案の定その彼は煙草を揉み消して軽いキス。
マイルドセブンの苦味はあの人に似ていてちょっと嫌だった。
なんてセンチメンタルは一瞬で。
目を閉じれば簡単。
その快楽に堕ちていく。
甘い言ノ葉と潤んだ色目で、
ほら、簡単でしょう?
貴方は綺麗だと言う。そう耳元で囁く。
こんなに汚いヨゴレでいっぱいなのに。
貴方が痕をつけてる首筋だってヨゴレだらけ。
何人目だったかすら覚えてないわ。
何度でも染め上げる肌。
貴方はまだ綺麗だと囁く。
ねぇ。
綺麗なお姉さんが好きですか?
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